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2025年01月1日
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。
2025年、巳年です。
インド神話においてヘビさんは、実は結構登場されます。
ヨガポーズでも、ブジャンガ・サルパ・アナンタ・・・と蛇にちなんだものが結構ありますよね!
蛇の神々は、インド神話では、“ナーガラージャ”と呼ばれ、いろんなところで出現します。
そして、ナーガラージャの中でも大キングがいて、それが “アナンタ”なのだそうです。
「無限」「永遠」の意味を持つ、アナンタ。
千の頭を持つ、蛇の神様です。
今年は、アナンタのお話をピックしてみようかなと思います。
この世が始まる前、世界は海でした。
混沌の海。
その海の中、千の頭を持つ蛇を船にして、横たわる者がいます。
これが、世界を維持する神と言われる、ヴィシュヌ神。
ヴィシュヌ神を乗せ、千の頭で日除けを作っているのが、アナンタ神です。
眠るように瞑想するヴィシュヌの臍から生まれるのが、ブラフマー神・創造の神。
頭から生まれるのがシヴァ神・破壊の神です。
ヴィシュヌがこうして瞑想を続けているから、この世界が維持されています。
すなわち、ヴィシュヌの夢がこの世界であり、
世界の維持の土台となっているのが、寝台であるアナンタなのです。
この世界においてアナンタは、大地を支える蛇の神、シェーシャとも同一視されています。
地底で大地を包み込むように取り巻き、頭で支えています。
この世が終わりの時を迎えると、シェーシャは大地を焼き尽くします。
そうして、地は海に。
その海に生き残るのは、ヴィシュヌとアナンタだけ。
再び混沌の海を漂いながら、次なる世界を創造するのです。
さて。
このお話で心が留まったのは、「土台」というものについてです。
なんとなく、強固で揺るがないことが良いと当たり前に考えてしまう土台ですが、
ヴィシュヌが瞑想するその場所は、アナンタに支えられているとはいえ、流動的な海の上。
この世の大地はすなわち海とイコールというところが、とっても逆説的で面白いなと。
確かに、強固であることと脆さは紙一重。
土台がしなやかであるからこそ、続くもの、広がるものがあるのかもしれません。
そもそも、この世が混沌の海の上の1人の神の夢の世界であるならば、
強固な土台なんてものは、ハナからないということで、仏教の言う、無我や無常にもつながるのかなと思います。
ですが、きっと誰しもが、毎日を一生懸命生きていく中で、
それぞれが安定していられるための、自己の土台を育てようとしています。
その土台は価値観となり、習慣となり、私たちの性格を作っているものでもあります。
有無や良し悪しについては誰も何もいえないものです。
だからこそ、私たちは自分の土台を、自分で整え、信じなければいけないし、
人の土台に土足で侵略することは避けなければなりません。
信じるため、尊重するために必要なのが、しなやかさ。
どうやったって受けることを避けられないストレスやダメージに、
耐久性や丈夫さで対応するのは、固執や執着という心を生みます。
執着を手放すということを、ヨガでは「アパリグラハ(不貪)」と言う言葉で習いますが、
回復力や順応性・柔軟性で対処できる力も、持っていられると良いなと思うのです。
最近の話題の言葉では、それらを「レジリエンス」というそうですね。
私にとって、アパリグラハは、自分の欲を知ることと解釈しています。
こうなりたい、こうありたい、こうしてほしい、こんなの嫌だ・・・
いろんな欲がありますが、それを観察することで、できることとできないことの仕分けができます。
できることは取り組めばいいし、できないことは諦めるしかありません。
それが、欲の克服であり、欲というものは必ずしも手放すものでなくても良いと、理解しています。
レジリエンスにおいても、やっぱりファーストステップは、自分を観察することなんだそうです。
自分の考え方の癖を把握すること、自分の性格にマッチする暮らし方・働き方、人との距離の測り方を知ること。
そこからイメージする自分の土台を、いかに弾力的に変化させられるかという力を高めることで、
日々のさまざまなストレスに、前向きに対処できるようになるのだとか。
自分の土台の輪郭を知ること。
これは、内側からの観察だけではうまくいかないこともあると思います。
あえてはみ出してみることで、見えやすくなってくるのでは。
そこで、バンデヨガなんです。笑
実は、バンデミエールのヨガにとって、「土台」はとても大事にしているキーワード。
養成講座では、心地良く居られるアーサナや、より大きく滑らかな動きを生み出すために、
『まずは土台から!』を口酸っぱく伝えています。笑
ただ、必ずしもポーズや動きにおいて、常に正しさを追求しなくていいということも強調します。
バンデのヨガが目指すのは、必ずしもビシッと決まることではなくて、
ここまでやったらバランスを崩してしまうんだなとか、こうなると集中を乱してしまうんだなとか、
安定を崩すきっかけを知ってもらうことなんです。
・・・よ?実は。笑
崩れたとしても、そんな自分を受け入れて、リカバリーし持続することができること。
自分の土台を越えるところを知り、そこから今の自分を見極めていくことができるといい。
そんな柔軟な在り方こそが「安定」なのではないかと考えています。
身体は心です。心は身体です。
身体にそんなレジリエンス力が身につくことで、心もきっとしなやかになります。
自分に固執しすぎることを避けられるのではないかなと思っています。
だから今年も、たくさんスタジオで転んでください!笑
バランスを崩して、笑ってください。
うまくいかないことを一緒にたくさん楽しめると嬉しいです。
なんだって、笑ってしまえば良いのです。
笑い合えるヨガの時間を、しっかりお届けできるよう、私たちは今年も、一生懸命精進します。
巳年の2025年。
ぜひ、みなさまがそれぞれのしなやかな土台に立ち、
起こるさまざまなことを、ヘビのようにするすると、柔軟に楽しめる年になることを願っています。
当たり前のことは、何ひとつありません。
この世は、海に浮かぶアナンタの上で眠るヴィシュヌの夢。知っていると思っていることは、幻影です。
目の前のひとつひとつを丁寧に観察することを、今年もヨガが教えてくれると思います。
そして、いつもみなさまを最善の場所へと、導いてくれるはずです。
2025年も、みなさまと共にヨガをして、日々をしなやかに過ごしていけますように。
今年もよろしくお願いします!
2025年 元旦
バンデミエール
( writer / ゆか )
今そこにある 尊いあなたの 幸せと成長を
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